秘密について

広辞苑によると、秘密は「隠して、他人に知らせないこと。公開しないこと、また、その内容」とある。

秘密について考えた。

人生では多くの事柄を知ることとなる。個人で、学校で、社会で、職場で、色々な集まりで。

そこでの事柄を、意図的に隠すということはなかなか経験することではない。

何もせず、放っておくことは多々あるが、そのことは秘密ではない。

他者がどうなのかを知りたがった時、秘められた状態にある事柄は、「秘密」なのだろうか。

秘密に関する用語として、プライバシー、個人情報、情報公開、説明責任、消滅時効、背任、詐欺などなど。

そして、良いイメージの秘密には、細やかな秘められた善意などがあり、悪いイメージでは、犯罪の関する情報。

こうして私たちは、秘密なのかどうなのか分からない自他の多くの事柄・情報に包まれて生きていく。

二人の秘密(記憶)

自分の記憶の中の出来事は自分だけの物のことが多い、そのためその記憶は他者に話してもどうにもならないから沈黙する。これは秘密ではない。

そんな出来事を当事者として、共有することになった時、さらにそれを二人で共有するものとなれば、二人だけの記憶であり誰も共有できないので、二人の秘密となる。

例えば、写真の賞状は、最近発見したもので、遠い遠い昔、私が小学生のスケッチ展に出展して、入賞した時のものだ。

この時の絵だが、出展する前に母が手を加えたことを思い出した。そしてかなり前だが、母と「そんなこともあったね」と苦笑いしたことがあった。

なぜ覚えているかと言えば、詳しくどんな絵だったかは記憶にないが、小学1年生がこんなに上手に描けるはずがないと、ずっと自分自身で思っていたからだった。母のやりすぎの記憶である。

そして懐かしい母と二人だけの秘密である。

人生で多くの人と出会う。そして多くのことを共有し記憶として残っていく。多数での記憶もあるだろう。何かの機会にみんなで思い出し話せることは楽しく、ありがたいことだと思う。

これは秘密にはならないが、二人だけのものは、話さなければ秘密になるのだろう。

人は、どれだけ多くの二人だけの記憶(秘密)を持って人生は歩んでいくのだろうか。

この写真を見て思い出した、今はもういない母との二人だけの秘密である。

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